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2017.2.18 信じること、生きること。

 小さい時、世の中は単純に、合理的に、動いているものだと思っていた。だから僕は、自殺をするほど悩む人がいるということが信じられなかった。でも22歳になって、人生経験(たいしたことはしてないけど)を積み上げていくと、生きるということは簡単ではない、むしろとても難しいことではないかと考えるようになった。

 神を信じることで、生きることに目的や平穏を求める人がいる。先日ルクアで本を読んでいると、宗教勧誘を受けた。年齢は80歳前後で、多くのその歳の人がそうであるようにしわが多く、どこにでもいそうな、平凡なおばあさんだ。バスが出発するまで30分ほど時間があり、また少し興味があったので、話を聞いてみた。

 「この世の幸せや不幸は、神様が与えてくれるもの。神を信仰しないから地震津波、事故、癌など、不幸なことに遭遇する」とおばあさんは話していた。うーん。僕は、幸せは自分で行動して生みだすもの、不幸は、自分が原因でない場合、例えば地震などの自然災害の場合、それは逃れようのない偶然だと思う。そのおばあさんは昔、自分が死の淵まで追い込まれるような不幸に遭遇したのかもしれない。神様を信じないと、自分が不幸にあったことの理不尽さを正当化できないのかな。幸い僕は今までそのような不幸に遭遇したことはない。しかし仮に自分が深い、漆黒の海の中に沈められるような不幸に遭遇したとしても、自分の力で這い上がる。神の信仰のせいにはしない。

 「宗教を信仰している人は、自分で物事を考えることができないから駄目だ」とヴァージニア・ウルフのダロウェイ夫人に書いてある。これから不幸なことが起きるかもしれない。過ぎていくものは過ぎていく。得るものを得て、失うものを失って。これから先のことは誰にも分らない。好きな人たちと一緒にいて、好きなことをして、美味しいものをたくさん食べて、充分な睡眠をとって、今の幸せを体全体で感じたい。生きることは難しいけど、他人や神のような人智を超えた大きな存在に自分の人生をゆだねず、自分で考え抜いて生きていきたいと思う。