mew mew

 実家で、二年と半年ほど前に猫を飼い始めた。山中家は代々犬派で、まさか猫を飼うなんて予想もしていなかったから心底驚いた。(当時は既にウェルシュ・コーギーを飼っていた)
 猫種は、スコティッシュフォールド。雄。家猫。白の絨毯に珈琲をこぼしたような淡い茶色で、なんといっても母に甘やかされているから、太い。家族と共に起床して、丸々午前中は縁側で外を見て、鳥を捕まえたり、綺麗な雌猫を見つければその子とデートをしたりするなど、空想に耽っている(多分)。午後からずっと寝ていて、おなかが減った時だけ僕たちを呼び、食べるとまた寝るかボーっとしている。
   僕はずっと犬派だったけれど、猫も飼ってみると可愛いなと思う。自分の部屋で本でも読もうかとリビングから移動すると、自分の後ろからひょこひょこと着いてきて、五分ほど部屋でボーっとしてから、またどこかへ行く。たまに撫でさせてくれるけど(本当に気分が良いときだけ)、大抵は撫でると噛んでくるか、どこかへ行ってしまう。母や妹は、そうでもないみたいなんだけど。きっと3ヶ月に一回ぐらいしか実家に帰らないから、自分になついていないんだろうな。
 猫の気ままなところが好きだ。世間体をきにするとか、生産性の無い日々を送ってしまったことを悔やむとか、そんなことは一切感じずに、ああ、生きるってこういうことで良いんだなと思う。見習いたいけど、きっと自分には無理だろうな。今日も一日何の生産性もない一日を送ってしまって。自己嫌悪に陥っているし。
 社会人になって少し落ち着けば、猫を飼いたい。スコティッシュフォールドマンチカンみたいな、少し鈍くさそうな猫。一つ問題なのが、彼女に猫アレルギーの気があるところなんだけど。

(2016.12.10)